JetBrains AI 2025.1 新プランと Junie に関するよくある質問
こんにちは。JetBrains 堀岡です。
2025年4月にリリースされた JetBrains IDE バージョン 2025.1 では、こちらの発表にあるように AI 関連で大きなアップデートがありました。 このブログ記事では、コーディング AI エージェント Junie や JetBrains AI Assistant に含まれる無制限のクラウドーコード補完など技術的な変更点と新料金プラン、および、良くある質問についてまとめました(2025年5月現在) 。
重要な変更点
無料プラン「AI Free」で無制限のクラウドベースコード補完が利用可能に
JetBrains IDE 2025.1 では、コミュニティ版および Android Studio を除く全ての JetBrains IDE で JetBrains AI の無料プラン「AI Free」が利用可能になりました。 AI Free には、JetBrainsが開発したコード補完専用オープンソースLLM 「Mellum」を使用したクラウドコード補完への無制限アクセスが含まれます。
JetBrains AI の利用開始方法
JetBrains AI の無料プランを開始するには AI Assistant プラグインのインストールが必要です。 JetBrains IDE 2025.1 では、以下のステップで簡単に JetBrains AI Assistant プラグイン(および JetBrains Junie プラグイン)をインストールできます。
- IDE 画面上部の🌀アイコンをクリック
- 「始めましょう」ボタンをクリック

- JetBrains AI クラウド補完が有効になると、以下のように表示されます

⚠️ 注意点
- GitHub Copilot などの他の AI プラグインと動作が競合する場合、当該プラグインの無効化や設定による一部機能の無効化などの調整が必要なケースがあります。
- 法人ライセンスをご利用の場合、法人アカウント設定でAI機能が無効になっているとご利用いただけません(デフォルト設定は有効)。設定を確認したい場合、御社内のJetBrainsライセンス管理者にこちらの設定をご確認いただく、またはJetBrains営業窓口までお問い合わせください。
- Floating License Server や License Vault では JetBrains AI ライセンスの自動配布が現時点ではサポートされていません。
License Vault については2025年中にサポートされる予定です。現在 License Vault Cloud を利用中のお客様は IDE Services/License Vault に移行し、AI Enterprise の利用をお勧めします。
クラウドコード補完ポリシーの調整がより簡単に
JetBrains AI のクラウドコード補完は、「補完ポリシー」によりコード補完の振る舞いを調整できます。
- 厳格:文法エラーが発生する可能性のあるコードが補完対象から除外されますが、副作用として補完の頻度が少なくなるケースがあります。
- クリエイティブ:「厳格」モード利用中に、他のAIコード支援ツールと比較して補完が物足りなく感じる場合、このモードをお試しください。
2025.1 からは以下のように画面上部の AI アイコンから「補完ポリシー」を簡単に変更できるようになりました。

AI エージェント Junie と編集モード(ベータ)による自動コーディング機能の拡充
2025.1では、新しいAIエージェント Junie が導入され、より高度な自動コーディング機能が利用可能になりました。 Junie は専用のプラグインのメニューから利用可能です。また、 AI Assistant のチャットメニューから 編集(Edit)モード ベータ版を選択することにより、チャットからのコード変更も利用可能です。
Junieの特徴
自律的に動作し、プロジェクトの探索、コードの作成、テストの実行、その他のコマンド実行などを含む、比較的大きなタスクの段階的な処理が可能です。これにより、開発者はタスクを完全に委任したり、複雑なプロジェクトでエージェントと共同作業を行うことができます。

AI Assistant 編集モードの特徴
Junie と比較して、繰り返しの実行や、スピードが重視される短時間の編集や簡単な作業により適しています。

以下の表は各モードの上記以外の特徴を比較したものです:
Junie 編集モード | JetBrains AI 編集モード(ベータ版) | (参考)JetBrains AI チャット | |
---|---|---|---|
コンテキスト収集 | 自動 | 自動 | 手動 |
ファイル生成・編集 | する | する | しない |
変更の完成度 | 比較的高い | ものによる | N/A |
編集にかかる時間 | 比較的遅い | Junieより早い | N/A |
クレジット使用量 | 多い | Junieより少ない | Junieより少ない |
LLM モデル選択 | 不可能(Junieチームの性能評価上ベストなもので固定。2025年5月現在 Sonnet 3.7 + OpenAI であるが Sonnet 4 など最新のモデルは随時評価しており Junie としての性能向上が確認できた場合更新する計画である) | 可能 | 可能 |
MCP連携 | 2025年中に対応予定 | 対応 | 対応 |
リモート開発・DevContainerサポート | 2025年中に対応予定 | 対応 | 対応 |
コメント | こちらの YouTrack Issue によるとJunie と IDE の組み合わせは Java/Kotlin であれば IntelliJ IDEA、Python であれば PyCharm のように言語専用の IDE がパフォーマンス的にベストであると言われている。 こちらのブログポストでは2025年4月リリースのバージョンでは変更対象が 5 – 10ファイルで数十行規模のタスクに対して効果的であると言われている | 2025年5月現在、ベータ版のため、動作が不安定なケースがある |
JetBrains AI のプラン比較
JetBrains AI の新プランでは、OpenAI, Google, Anthropic 等のサードパーティクラウド LLM を使用する機能は週または月ごとの Quota/クォータ制(利用可能なクレジット量に対する制限 詳細はこちら)の対象となっており、利用する LLM モデルや入力コンテキスト量、出力量に応じてクレジットを消費する仕組みとなっています。一方で、ローカル LLM を使用する場合は、AI Free プランの導入により、有償プランがなくても、AI 機能が利用可能になりました。そのため、コストを抑えたい場合は AI Free を活用する、クラウド LLM を用いた高度な編集機能が必要な場合には、利用頻度に応じて AI Pro、AI Ultimate、AI Enterprise といったプランを選択するなど、利用目的に合わせて柔軟に選ぶことができます。
AI Free | AI Pro | AI Ultimate | AI Enterprise | |
---|---|---|---|---|
対象プラン | 個人・法人 | 個人・法人 | 個人・法人 | 50 ユーザ以上の法人 |
クラウドベースコード補完 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限(JetBrains AI を使用する場合) |
クラウド AI モデル(OpenAI、Gemini、Claude など)のクレジット量 | S | M | L | L |
クレジット補充サイクル | 30日 | 30日 | 30日 | 週 |
クレジットを使い切った場合のクォータの一時的な拡張対応 | なし(オフラインモデルまたは上位プランの利用をご検討ください) | なし(オフラインモデルまたは上位プランの利用をご検討ください) | あり(要サポートへの連絡) | あり(要サポートへの連絡) |
AI エージェント Junie でおすすめ | △ | ◯(たまに使う人向け) | ◎(よく使う人向け) | ◎ Junie for AI Enterprise プレビュー受付開始 |
Ollama、LM Studio 経由のローカルAIモデル(Junieを除く) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
エンタプライズ向け機能(SSO連携、高度なセキュリティ、オンプレミス版など) | × | × | × | ◯ |
コメント | お試し or コード補完 + ローカルモデルのみ使用する場合におすすめ | Junie の利用は限定的で、それ以外の AI 機能を日常的に利用する場合におすすめ | Junie を日常的に使用する場合におすすめ | 法人で使用する場合、一番機能が豊富で柔軟なオプション。Junie込みの価格は未定。 |
All Products Pack や dotUltimate に AI Pro が含まれるように
All Products Pack や dotUltimate に AI Pro が含まれるようになりました。この変更は Pack 製品を新規購入されるお客様だけでなく、すでにいずれかの製品をご利用いただいているお客様、単体 IDE から Pack 製品へのアップグレードを購入されるお客様にも適用されます。
All Products Pack または dotUltimate と AI Pro の両方を購入し、利用されているお客様は、使用するAI ライセンスを切り替えることにより、AI Pro 2つ分のクレジットの利用が可能です。 一方で、2つの AI ライセンスのクレジットを使い切らない場合は、AI Pro ライセンスのサブスクリプションの停止(個人・法人)をお勧めします。
今後のロードマップ
以下については 2025年中にサポート予定ですが、早期実現を希望する機能への投票および進捗状況については以下の YouTrack Issue をご確認ください。
Junie のロードマップ
- リモート開発環境/Docker のサポート: https://youtrack.jetbrains.com/issue/JUNIE-37
- WSL2 のサポート: https://youtrack.jetbrains.com/issue/JUNIE-60
- Rider のサポート: https://youtrack.jetbrains.com/issue/RIDER-124817
- MCP サポート: https://youtrack.jetbrains.com/issue/JUNIE-26/
- Junie on GitHub(Kotlin Conf 2025で発表): 近日中に公開予定
- 最新情報は Discord コミュニティで: https://jb.gg/junie/web
AI Assistant のロードマップ
- VS Code 版の提供: 2025年5月現在 Public Preview 中です
- Project Rules: https://youtrack.jetbrains.com/issue/LLM-4067/
- Next Edit Prediction: 開発中
よくある質問
よくある質問と回答は、技術的詳細を含むものは YouTrack ナレッジベース(Junie、AI Assistant)、一般的なものは JetBrains AI FAQ ページ記載されています。本記事では特に多いものについて、紹介します。
AI Assistant や Junie を利用する際、どのような規約が適用されますか?送信されるデータに対する取り扱い(LLMの学習に使用しないなど)はどこで確認できますか?
JetBrains AI や Junie は、ユーザーのコードを学習データとして保存しません。
Junie 正式版の利用規約は、JetBrains AI Terms of Service が適用されます。
Junie EAP版の場合、Junie EAP Terms of Service が適用されます。
その他、JetBrains 製品の全ての利用規約、プライバシーポリシー等は法的情報ページをご覧ください。
バージョン 2025.1 以降で AI Assistant の利用開始時に「Something went wrong. Try again」エラーが表示される場合の対処法
https://account.jetbrains.com にログインし、Terms of Service を承諾してください。
参考:https://youtrack.jetbrains.com/issue/LLM-16517/2
AI Pro を複数持っている、追加で AI Ultimate を購入した場合などでの、AI ライセンスの切り替え方法
AIチャットツールウィンドウの(時計アイコンの隣にある)「︙」をクリックし、

「ライセンスの管理」を選択すると、利用するライセンスを指定やライセンス一覧のリフレッシュが可能です。


また、メニューの「ヘルプ」 | 「登録」から IDE のライセンス管理ダイアログを表示し、左下ユーザー名をクリックし、ログアウト、再ログインを行うことにより、ライセンスの再読み込みを行うことで改善するケースもあります。

参考:
- https://youtrack.jetbrains.com/articles/SUPPORT-A-1867/
- https://youtrack.jetbrains.com/articles/SUPPORT-A-1986/Switching-AI-licenses-in-ReSharper
クレジットを使い切ってしまうことを避けるためのヒントはありますか?
- Junie や AI Assistant で 1つのタスクやチャットを使い続けると、LLM に送信されるコンテキストが指数関数的に増加し、クレジットを多く消費する可能性があります。そのため、新しいトピックごとに新しいタスクやチャットに切り替えることが推奨されます。
- Junie と AI Assistant を使い分ける(単純な質問は Junie ではなく、AI Assistantを使用する)
- AI Assistant で高コストモデル(GPT o1、GPT o3、Gemini 2.5 Pro、Claude Sonnetなど)とそれ以外を使い分ける
- ローカル LLM(Ollama、LM Studio)の使用を検討する
- 必要に応じて上位のプランに変更する
クォータおよびクレジットに対する基本的な考え方、各プランの違いはこちらをご覧ください。
- https://youtrack.jetbrains.com/articles/SUPPORT-A-211/JetBrains-AI-Fair-Usage-Limits
- https://youtrack.jetbrains.com/articles/SUPPORT-A-1860/What-is-the-quota-limit-for-different-JetBrains-AI-plans-AI-Free-AI-Trial-AI-Pro-AI-Ultimate
クレジットを使い切ってしまった場合は?
最新の情報は以下をご確認ください。
2025年6月1日現在の回答(上記ページの日本語まとめ)
AI Free / Trial / Pro プランの場合
以下のいずれかが可能です:
• オフラインモードに切り替え:クラウド LLM 機能のクーオタ制限を回避可能(ただしJunieは利用不可)
• 複数ライセンスを持っている場合(例:All Products Pack と AI Pro)別のライセンスに切り替え
• AI Ultimate や AI Enteprise プランにアップグレード
AI Ultimate / Enterprise プランの場合
月間クォータを使い切った場合は、通知内の「Contact Support」リンクからサポートにご連絡ください。利用状況を確認後、クォータを一時的に追加いたします。
おわりに
JetBrains AI 関連の製品やサービスは日々進化、変化しつづけています。ご質問やお手伝いが必要な事がありましたら JetBrains 日本語営業窓口までお気軽にお問い合わせください。