JetBrains AI の 2025 年を振り返る
本記事は「AI エージェント機能で進化した JetBrains の開発体験をシェアしよう by JetBrains Advent Calendar 2025」向けに投稿したものです。多くの JetBrains AI ユーザー様からの役立つ投稿もぜひご覧ください。
GitHub Copilot の登場以降、AI コーディング支援ツールは目覚ましい進化を遂げ、今やエディタや IDE の必須機能となりつつあります。
JetBrains の AI に対する取り組みも、コーディング支援ツール「JetBrains AI Assistant」 の2023 年末の発表以降、継続的に進化・変化を続けています。
本記事では、2025 年を振り返り、JetBrains AI の進化・変化の中でも特にインパクトの大きかった点についてご紹介します。
無料プラン AI Free の導入
2025.1 で無料プラン AI Free が導入されました。これにより、JetBrains IDE 製品の利用者は追加費用なしで、一部の AI コーディング支援機能を使うことができるようになりました。
AI Freeプランで利用可能な機能は以下の通りです。
- 無制限のクラウドコード補完: JetBrains が独自開発しているコード補完専用言語モデル「Mellum」によるクラウドベースのコード補完を無料で無制限に利用可能。
- ローカルAIモデルのサポート: Ollama や LM Studio などを通じたローカル AI モデルを用いたコーディング支援。
- 制限付きのクラウドクォータ: OpenAI、Google Geminiなどのクラウド AI モデル利用機能(AIチャット、コード生成など)に対し、月間 3 AIクレジットを提供。
利用開始方法
IDE 画面上部の🌀アイコンをクリックすると、JetBrains AI Assistnat や Junie プラグインがインストールされ、JetBrains AI Assistant が利用可能になります。初回有効化時に 30 日間のAI Proトライアルが自動開始され、終了後に Free プランへ移行します。

コーディングエージェントと AI Assistant の統合
Anthropic Claude Code の発表以降、AI コーディングエージェントにコーディング作業を委譲可能なシナリオが増えつつあります。
JetBrains でも2025 年 2 月に独自の AI コーディングエージェント「Junie」を発表以降、多くのお客様にご利用いただいています。
一方で、Junie は IntelliJ ベースの IDE や AI Assistant とは異なる、AI コーディングエージェントに特化した新しいチームが開発した技術を由来としているため、AI Assistant と Junie の 2つのアプリケーションが異なるユーザーインターフェイスを持つことが、混乱を招くケースが少なからずありました。
このような課題に対して、JetBrains AI Assistant チームでは JetBrains IDE 上の様々な AI コーディング支援サービスを統合するためのプラットフォームになることを目指しています。日進月歩で進化する AI コーディングエージェント技術を JetBrains IDE 上で活用できるよう、統一的な UI の下、利用者への様々な選択肢を提供することをゴールとしています。
2025.3 では Junie や Claude Agent (Claude Code SDK を利用して JetBrains AI Assistant に統合)、ACP(Agent Client Protocol) をサポートするエージェントが AI Assistant に統合され、AI チャットツールウィンドウから選択できるようになっています。これに伴い、Quick Edit モードは廃止されました。

フロンティア LLM モデルのサポート開始までの時間を短縮
JetBrains AI Assistant は当初、OpenAI の一部のモデルのみをサポートしていましたが、Anthropic の Sonnet や Google Gemini のようなフロンティアモデル(OpenAI、Anthropic、Google 等からの現時点で市場で利用可能な最も先進的で構成な AIモデル)のサポートには、技術的およびビジネス的な理由から数ヶ月を要していました。
このような課題に対応するため、JetBrains AI Assistant チームは、AI Assistant を多様な LLM の進化に合わせて、利用者が用途に応じた LLM を選択できるよう、社内の開発体制および LLM ベンダーとの協業体制を強化しました。これにより、OpenAI、Anthropic、Google といった主要なフロンティアモデルは、リリースと同時、またはリリース後 1 週間以内にサポートされるケースが増加しています。また、最近では xAI のモデルのサポートも追加されました。
2025 年 12 月 24 日現在 JetBrains AI Assistant の AI チャットで利用可能なモデル一覧は、以下の通りです。

AI コーディングエージェント Junie においても、サポートされる LLM を拡大しています。Junie チームでは市場で利用可能な LLM を継続的に評価し、コストとパフォーマンスを考慮した上で、デフォルトの LLM を定期的に更新しています。2025.3 では Gemini 3 Flash がデフォルトの LLM となり、Junie の課題と言われていた応答性が大幅に向上しています。
2025 年 12 月 24 日現在 AI コーディングエージェント Junie で利用可能なモデル一覧は、以下の通りです。

コード補完の進化/Next Edit Suggestion
JetBrains AI におけるコード補完は、2024 年に発表した JetBrains 独自のコード補完特化言語モデル Mellum により、大幅に性能向上を果たしました。
2025 年では、開発を進めてきた Next Edit Suggestion(次の編集提案) 機能が一部の言語において 2025.2 でベータリリースされ、2025.3 では言語カバレッジを拡大して正式リリースとなりました。
なお、2025.3(2025年12月)の時点では、Next Edit Suggestion を利用するには AI Pro 以上のサブスクリプションが必要です。AI Free ではご利用いただけません(ただし、今後変更される可能性があります)。

料金体系の変更(クレジット制とトップアップ導入)
JetBrains AI においては、2025年 8 月 25 日からクレジット制度が導入され、その後 AI Assistant 側のアップデートにより、ほぼリアルタイムでクレジットの残量を確認できるようになりました。

また、クレジットを使い切った場合は、JetBrains Account の AI Settings ページから追加購入できるようになりました。法人のお客様の場合、法人単位でクレジットの購入が可能です。なお、法人向け JetBrains 製品管理ポータルサイトは、2025 年 12 月より法人専用管理ポータル JetBrains Consoleに一部のお客様より順次移行しています。
1クレジット=1 USD相当(日本市場向け 2025年12月現在 1クレジット=140円)

変更の背景
JetBrains のような自身の LLM を持たない企業が LLM を用いた AI サービス(例:JetBrains AI、Junie)を提供する際、LLM の費用の問題はビジネスの継続性の観点で非常に重要です。当然ながら、AI サービス企業(例:JetBrains)が LLM ベンダー(例:OpenAI, Anthropic, Google)に対して支払う費用が提供するサービスの売り上げを上回る場合、ビジネスとして成りたちません。
JetBrains AI 新クオータFAQ で説明されているように、クレジット制導入以前は、トップアップ機能が存在しなかったため、利便性を考慮し JetBrains AI の各プランで利用できるクレジット量は、各プランの適正価格(ビジネスとして継続可能なトークン使用量)より多くなっていたようです。そのため、クレジット制導入後、利用可能なクレジットが少なくなったというフィードバックもありました。
上記ブログにあるように JetBrains の当初の見積もりが甘かったのは事実でしょう。一方で、このような変更は JetBrains に限った話ではないようです。例えば、Zed Industries も、2025年9月に Token 使用量ベースによる料金体系への変更を発表しています。
BYOK(Bring Your Own Key) のサポート
2025.3 以降、これまで法人向け JetBrains AI Enterprise に限定されていた BYOK(Bring Your Own Key)のサポートが、AI Free/AI Pro/AI Ultimate ユーザーにも拡大されました。
以下の画面のようにAI Assistant の設定画面で LLM プロバイダーの API キーを指定できます。ただし、OpenAI や Anthropic などでは、LLM のサブスクリプション利用枠と API キー利用枠は異なります(2025年12月時点)。詳細はご利用の LLM プロバイダーの利用条件をご確認ください。

JetBrains AI プランの選び方
利用可能な JetBrains AI のプラン一覧(個人、法人)から最適なものを選ぶ方法は、現在の AI の利用状況によって異なります。以下では、一例としてプランの選び方を紹介します。
| プラン | こんな方にオススメ | 備考 |
| AI Free | Mellum によるクラウドコード補完だけで十分な方 JetBrains AI に追加で費用をかけず、必要であれば Local LLM や BYOK を活用できる方 | AI Free プランでは以下がサポートされないので注意 – JetBrains AI の追加クレジット購入 – Next Edit Suggestion によるコード補完(2025年12月の時点では AI Pro が必要) |
| AI Pro | JetBrains AI の機能を満遍なく(コーディングエージェントを除く)利用したいが、固定費を抑えたい | クレジットを多く消費するコーディングエージェントを使う場合、トップアップでクレジットを追加 or BYOK が必要 |
| AI UltimateAI Enterprise | JetBrains AI 経由で Junie や Claude Agent 等のコーディングエージェントを常用したい | AI Enterprise は法人のみ |
AI の利用状況の見える化(JetBrains Console)
JetBrainsでは、AIによるコーディングを活用されている法人のお客様から、AIツールの利用状況や生産性の可視化、投資対効果を課題として多くお聞きしています。
このような課題への対応として、以下の施策を進めています。
- JetBrains AI Assistant をAI活用の入り口/プラットフォームとして位置づけ、様々なAIツールとの連携をサポート
- AIツールの利用状況の可視化
後者については、これまでのJetBrains Accountの法人向けライセンス管理機能を改良し、新しい管理ポータル「JetBrains Console」の提供を一部のお客様より順次開始しています。
JetBrains Console では、以下のように JetBrains AI Assistant 経由で生成されたコード量やその採択率等、AI の活用状況や生産性を測る上での参考となるような分析レポート機能を提供しています。JetBrains Console の詳細は別ポストで案内する予定です。

2026 年にむけて
こちらの記事では IDE 上での AI に関する内容がメインでしたが、Junie on GitHub や Junie CLI など非同期型のコーディングエージェントの開発を進めています。2025 年 12 月の段階では Terminal benchmark において、高いタスク達成率(64.3%)を実現しています。
さらに、JetBrains Fleet を pivot して開発が住められているAIエージェント特化型新エディタなどの新しい取り組みも進められています。
まとめ
本記事にで紹介した内容で使ったことがない機能があれば、是非お試しいただき、日本語窓口または@masaruhrまでフィードバックをいただけますと幸いです。
また、法人向け JetBrains AI Enterprise のトライアルやデモについては以下からお申し込みいただけます。
JetBrains AI Enterprise のデモ・トライアル