ACP(Agent Client Protocol)で変わる JetBrains IDE とコーディングエージェントの関係
こんにちは。JetBrains 堀岡です。
JetBrains は、IDE と AI コーディングエージェントの関係を再定義するオープンな規格 ACP (Agent Client Protocol) への対応を強化しています。2025 年 12 月には JetBrains IDE の ACP 対応が発表され、ACP をサポートするコーディングエージェントとの統合を実現しました。
さらに 2026年1月には ACP Registry への対応が発表され、多種多様なコーディングエージェントを IDE にワンクリックで統合可能になりました。これにより、JetBrains IDE は開発者が多様なコーディングエージェントと共同作業するためのプラットフォームへと進化しています。
このブログポストでは、JetBrains の ACP への取り組みによってもたらされる変化と 2026 年 2 月現在の AI 戦略について考えてみたいと思います。
IDE とコーディングエージェントを統合するためのアーキテクチャの変更
これまで JetBrains IDE とコーディングエージェントの統合アーキテクチャはプラグインによる実装が中心でした。このアーキテクチャにおいては、コーディングエージェント提供側が IDE との緊密に統合しようとした場合、GUI を含むプラグインを実装しなければならないという壁がありました。現在のトレンドでは、コーディングエージェントは GUI の影響を受けない CLI として実装されます。この前提では、この状況は望ましくありません。利用者の視点でも、コーディングエージェント毎に GUI の操作感が異なれば混乱の原因となります。

これに対して、ACP により共通化された IDE とコーディングエージェント統合の利点として、以下の点が挙げられます。
- UI の統一によるユーザー体験の向上:IDE との GUI 統合部分では、JetBrains AI Assistant の AI Chat という統一されたユーザーインターフェイスを利用できます。利用者にとって、統一された操作感は良い開発体験をもたらします。
- エージェント開発者の負担軽減:コーディングエージェント提供者は、IDE 上の UIを過度に考慮する必要がなくなり、エージェントの基本性能開発に注力できます。

JetBrains AI におけるコーディングエージェント選択画面

JetBrains AI +コーディングエージェント環境における変更確認画面

JetBrains AI Assistant で利用可能なコーディングエージェント
JetBrains AI Assistant を利用する場合、2026 年 2 月現在、以下のコーディングエージェントが利用可能です。
- デフォルトで連携可能なもの
- JetBrains Junie
- Anthropic Claude Agent (Claude Agent SDKを使用)
- OpenAI Codex(ACPを利用)
- ACP Registry からワンクリックでインストール可能なもののスクリーンショットを以下で紹介しています。それ以外に、ACP を手動で構成することにより、コーディングエージェントが ACP をサポートしていれば連携可能です。

柔軟性がもたらす「技術選択」と「支払い」の自由
現在の AI コーディングエージェント市場は、日々進化し続けている一方、プロジェクトの言語やフレームワーク、利用頻度、予算等によって最適なエージェントが異なります。
JetBrains が Zed 発のオープン規格である ACP を支持する理由は、コーディングエージェントの利用において、ユーザーに以下の観点での柔軟性を提供するためです。
技術選択の自由
JetBrains IDE 内で使用するコーディングエージェントを用途に合わせて選択・切り替えが簡単になりました。このような技術選択の自由はなぜ重要なのでしょうか?
2025 年 12 月に発表された Bhanu Prakash Vangala らによる論文 AI-Generated Code Is Not Reproducible (Yet): An Empirical Study of Dependency Gaps in LLM-Based Coding Agentsでは、Claude Code、Godex、Gemini を比較した結果、プログラミング言語(Java, Python, JavaScript)によって、性能(実行可能な正しいコードの生成)が異なり、論文内の実験においては、Claude Code は Java、Gemini は Python プロジェクトにおいて良い結果が得られたと報告されています。
JetBrains のコーディングエージェント Junie が参加している以下のベンチマークにおいても、コーディングエージェント と LLM の組み合わせにより、性能が異なることが報告されています。
- Terminal Bench
- Developer Productivity AI arena (JetBrains が開発し Linux Foundation に寄贈したベンチマーク。現在は Spring x Java に特化した様々なタスクで評価)
上記論文やベンチマークの結果はあくまで一時点のスナップショットにすぎません。技術進化と競争が激しい現在の市場では、時期や用途によって「最適解」は常に変化すると考えられます。だからこそ JetBrains は、ユーザーが技術を自由に選択できることを重視しています。
支払い方法の自由
JetBrains は独自のクラウドインフラや巨大な LLM を所有していません。非上場かつ VC などの外部資金に頼ることのないビジネス形態であるため、OpenAI や Anthropic のように赤字覚悟で「使い放題」に近いプラン(レートリミットのような従量課金より制限の緩い料金体系を含む)を提供することは困難です。その分、他社サービス併用者を含むあらゆるユーザーに対し、用途に合わせてコストと性能を最適化できる「柔軟な支払いオプション」と「合理的な選択肢」を提供することに注力しています。
例えば、すでに他社(OpenAIやAnthropicなど)と直接契約しているユーザーが、JetBrains AI の UI を通じてコーディングエージェントのみを使用する場合、JetBrains AI の有償プランは必須ではありません。
JetBrains AI で ChatGPT アカウントを有効にする設定画面

JetBrains Account で BYOK するための設定画面

一方で、JetBrains AI の有償プランは、Next Edit Suggestion などコード補完機能やコミットメッセージ生成やコードレビュー等のVCS(バージョン管理ツール)関連機能、コーディングエージェントやチャットの LLM を切り替え等、IDE の機能と AI の統合によるプラスアルファの価値を提供できるようにデザインされています。
支払い方法の選択は AI 機能をどのように有効化するか(本ポストでは「認可方法」と呼ぶことにします)により決定されます。認可方法によって利用可能な機能が異なるため以下にまとめます(2026 年 2 月現在)。
また、支払い方法の選択は択一ではなく、用途に応じて、組み合わせて使うこともできます。以下にオススメ構成例を紹介します。
- 契約済みのコーディングエージェント(例えば ChatGPT の有償プランで Codex)をBYOK や OAuth でメインで利用しつつ、JetBrains AI の様々な機能を使いたい場合、必要に応じて JetBrains AI の有償プランを追加契約することができますが、IDE ライセンスに継続割引が適用されている場合は、AI Pro プランが含まれる All Products Pack や dotUltimate がお得なケースがあります。
- コーディングエージェントとして Junie メインで使用する場合や、初期クレジットが多い JetBrains AI Ultimate プランや Enterprise プランの利用が推奨されます。
- 色々なコーディングエージェントを試してみたい場合、AI Pro または All Products or dotUltimate + 必要に応じて AI クレジットを追加購入の組み合わせが効率的です。
組み合わせや技術的詳細については、JetBrains AI アシスタントオンラインヘルプ 英語 | 日本語 で紹介していますが、複雑であることも事実です。JetBrains 日本語窓口でもサポート可能ですので、お気軽にご質問ください。
| AI 機能に対する認可方法 | 利用可能なコーディングエージェント | 利用可能な JetBrains AI の機能(AIチャットやIDEメニュー🌀で呼び出す機能) | 備考 |
| JetBrains AI | Junie Claude Agent Codex | 全て利用可能 | Next Edit Suggestion やAI クレジットの追加には有料プランのAI Pro(All Products Pack や dotUltimate に含まれるものでもOK)、 AI Ultimate が必要 |
| BYOK | Junie Claude Agent (利用可能なキーを使用の場合) Codex (利用可能なキーを使用の場合) | 一部利用不可 | AI Assistantの設定 または AI Enterprise の設定で構成可能 |
| OAuth | Codex | 利用不可 | AI Assistant の設定で構成可能 |
| ACP-compatible agent | ACP-compatible agent | 利用不可 |
JetBrains のコーディングエージェント「Junie」が示すワークフローの力
JetBrains は ACP により、サードパーティ製エージェントと IDE の統合を可能にする一方で、独自のコーディングエージェント Junie への継続的な技術開発を続けており、一定の成果を出しています。
最近のニュースとしては、ベンチマーク Terminal-Bench において、2026年2月18日現在 64.3%のスコアで、Junie CLI (Gemini 3 Flash) を用いて唯一 TOP 10 入りを実現しています。
個人的に、この結果は技術的な観点で興味深く感じました。その理由は、What’s next for AI agentic workflows ft. Andrew Ng of AI Fund において、Andrew Ng 氏が Agentic workflow により、単体では性能が劣るLLMであっても Agentic ワークフローによりタスク達成率を高めることができることを言及していましたが、これと同じことが Junie においても、Gemini 3 Flash のような高速かつ安価なモデルを用いつつも、IDE のコンテキスト情報を活用したワークフローにより、少ないクレジット単価で高い性能を提供できることを証明していることです。これは、JetBrains AI のような従量課金プランを提供する事業者が、様々な LLM を選択肢として提供するための重要な取り組みです。
ただし、これは Junie + Gemini 3 Flash がすべての状況においてベストであることを表しているわけではありません。Junie のもう一つの特徴は、様々な LLM との連携が可能であることが挙げられます。例えば、前述の Developer Productivity AI arena (Java + Spring Boot ベンチマーク)では Junie CLI + Opus 4.5 が高いスコアを実現しています。
ユーザーにとって、選択肢の増加はメリットである一方、「何を選ぶべきか」という悩みも生じます。コストと性能の最適なバランスを見出すため、定期的なベンチマーク等を通じて、Junie活用の知見が蓄積されることを期待しています。
「JetBrains Console」による AI コーディング利用状況の可視化
組織内で様々な AI エージェントの導入が進んでいる現状では、「利用状況の不透明さ」という新たな課題が生じています。
2025年12月に発表された JetBrains Console は、この課題に対する解決策を提供しようとするものです。ACP によりJetBrains IDE に統合されたコーディングエージェントの統合により以下が可能になります。
- 利用状況の可視化: チームごとの JetBrains AI 消費クレジットや AI 提案の採用率をダッシュボードで把握。
- ガバナンスとコスト管理: どのエージェントを許可するかを一括管理し、ROI(投資対効果)をデータに基づいて評価。
これにより、CTO やエンジニアリングマネージャーは、組織全体の利用状況を把握することが可能になり、開発効率、投資対効果の判断をサポートします。
JetBrains Console については以下の記事をご覧ください。
Beyond IDE
本記事では主に ACP による JetBrains IDE とコーディングエージェントについて紹介しました。JetBrains では JetBrains IDE 以外でのコーディングエージェントの製品化も進めており、多くのものは EAP でお試しいただけるようになっています。代表的な物は以下の通りです。
- JetBrains Air
- Junie CLI
- Junie on GitHub
上記以外にも開発を進めているものがあり、別の機会で紹介していきたいと考えています。
まとめ:最適なエージェントを、最適なプランで
ACP とそのレジストリの整備により、JetBrains IDE は、これまでの優れた開発体験に加え、様々なコーディングエージェントの力を引き出し、AI と人間が協調するためのプラットフォームになりました。JetBrains AI + ACP により、技術的にもお支払い的にも柔軟性が進化した JetBrains IDE とコーディングエージェントの統合をぜひご活用ください。
利用開始は IDE 画面上部の 🌀アイコンから可能です。

ご質問がございましたら JetBrains 日本語窓口まで、お気軽にご質問ください。