最も一般的な Python フレームワーク & ライブラリ (2025 年)
API、ダッシュボード、機械学習パイプラインなどを構築する際は、適切なフレームワークを選択するかどうかによってプロジェクトの成功が左右されます。
当社はツール、言語、フレームワーク、およびライブラリに及ぶエコシステムの変化を理解するため、毎年多数の Python 開発者を対象にアンケートを実施しています。 また、2025 年 Python の現状から得られたインサイトにより、2025 年時点で開発者が使用しているフレームワークの全体像を把握しています。
この記事では、最も人気を集めている Python フレームワークとライブラリを詳しく見ていきます。 古くから人気のある Django や Flask などの一部のフレームワークは引き続き確固たる地位にありますが、AI、ML、データサイエンスなどの分野では FastAPI などの新しいフレームワークが急速に人気を得ています。
1. FastAPI
2024 年の使用率: 38%(2023 年から 9% 増)
一覧の上位にある FastAPI は、Python 3.8 以上で API を構築するためのモダンかつ高性能なウェブフレームワークです。 Python の型ヒント、非同期プログラミング、および OpenAPI 標準を開発者にとって使いやすい 1 つのパッケージに集約するような設計になっています。
Starlette(ウェブレイヤー用)と Pydantic(データ検証用)を基盤として構築された FastAPI には、自動リクエスト検証、シリアル化、および対話型ドキュメントが備わっており、そのすべてがボイラープレートを最小限に抑えて提供されています。
FastAPI は、速度、単純さ、および標準を優先するチームに最適です。 ウェブ開発者にもデータサイエンティストにも非常に人気があります。
FastAPI のメリット
- AI/ML に最適: FastAPI は機械学習モデルを本番環境にデプロイする目的で広く使用されています。 TensorFlow、PyTorch、Hugging Face などのライブラリと適切に連携し、非同期モデルの推論パイプラインをサポートしているため、最大限のスループットを実現できます。
- デフォルトで非同期: ASGI を基盤とする FastAPI はネイティブの async/await をサポートしているため、リアルタイムアプリ、ストリーミングエンドポイント、低レイテンシーの ML サービスに最適です。
- 型安全でモダン: FastAPI は Python の型ヒントを使用してリクエストを自動的に検証し、クリーンでエディターが扱いやすいコードを生成するため、実行時のエラーを減らし、チームの生産性を促進することができます。
- 自動生成ドキュメント: FastAPI は Swagger UI や ReDoc を通じて対話型ドキュメントを作成するため、チームが無駄なドキュメントを書くことなくエンドポイントを調査・テストできるようになります。
- 強力なコミュニティ勢力: FastAPI は比較的新しいフレームワークであるにもかかわらず、大規模で活発なコミュニティを形成しており、その拡張機能、チュートリアル、統合のエコシステムは成長し続けています。
FastAPI のデメリット
- 非同期処理の習得が困難: async/await はパフォーマンスを高めますが、非同期プログラミングに不慣れな開発者にとっては難しい場合があります。
- バッテリー同梱ではない: FastAPI には、認証、管理、およびデータベース管理用の組み込みツールが不足しています。 これらのツールは、手動で選択して統合する必要があります。
- 小規模なエコシステム: FastAPI のプラグインは増え続けてはいますが、Django に後れを取っており、CMS 統合やロールベースのアクセス制御といったタスク用の既製のツールが比較的不足しています。
2. Django
2024 年の使用率: 35%(2023 年から 2% 増)
Django が開発者に最も人気の Python フレームワークとして上位に返り咲きました。
Django は元々は組み込みのセキュリティと構造を利用した迅速な開発を想定して作られたものですが、後にフルスタックツールキットへと進化しました。 コンテンツの多いウェブサイト、データサイエンスダッシュボード、ML を使用したサービスなどのあらゆる分野で信頼されています。
モデル・テンプレート・ビュー(MTV)パターンに準拠しており、ルーティング、データアクセス、およびユーザー管理用の組み込みツールが備わっています。 そのため、最小限のセットアップでアイデアからデプロイまで進めることができます。
Django のメリット
- バッテリー同梱: Django には、ORM、ユーザー認証、管理パネル、テンプレートエンジンなど、包括的な組み込みツール一式が備わっています。 そのため、独自のスタックを組み合わせることなくすぐに作業を進めたいチームに最適です。
- デフォルトでのセキュリティ保護: CSRF、SQL インジェクション、XSS、およびその他の一般的な脆弱性に対する保護が組み込まれています。 このセキュリティを重視するアプローチは、Django が銀行、行政機関、および大企業から信頼を得ている理由の一つとなっています。
- 拡張性と本番対応: Django は水平スケーリング、キャッシュ処理、非同期ビューをサポートしています。 Instagram、Pinterest、Disqus といったトラフィックの多いプラットフォームの強化に使用されてきました。
- 優れたドキュメント: Django の公式ドキュメントは、その明確さと網羅性が広く評価されており、あらゆるレベルの開発者が活用しています。
- 成熟したエコシステム: CMS プラットフォームから、REST API、決済、および検索に至るまで、数多くのサードパーティパッケージが提供されています。
- 長期サポート: Django Software Foundation が支援する Django は、アップデート、セキュリティパッチ、LTS リリースが定期的に行われているため、長期的なプロジェクトには手堅い選択肢となっています。
Django のデメリット
- 小規模なアプリには過剰: 単純な API やマイクロサービスでは、Django のフルスタックアプローチは過剰であり、構成に時間を要するように感じられる可能性があります。
- 緊密に連携したコンポーネント: ORM やテンプレートエンジンといったスタックのパーツを入れ替えるには、回避策や重度のカスタマイズが必要となることが多々あります。
- 習得が困難: Django は規則が多くて奥深いため、初心者や比較的小さなフレームワークに慣れているチームは負担を感じる可能性があります。
3. Flask
2024 年の使用率: 34%(2023 年から 1% 増)
Flask は小規模なアプリ、API、データサイエンスダッシュボードの分野で最も一般的な Python フレームワークの 1 つです。
アプリケーションのアーキテクチャを完全に制御できる、軽量かつ柔軟性の高いウェブフレームワークです。 Flask は特定のプロジェクト構造を強制したり、ORM やフォーム検証などの組み込みツールを提供したりしていないため、「マイクロフレームワーク」に分類されています。
組み込みツールの代わりに単純な基本機能を提供しているため、必要な機能のみを追加することができます。 Flask は Werkzeug(WSGI ユーティリティライブラリ)と Jinja2(テンプレートエンジン)を基盤としており、 分かりやすい構文、直感的なルーティング、および柔軟性で知られています。
SQLAlchemy、Flask-Login、Flask-RESTful などの拡張機能と組み合わせることで、拡張性が高まります。
Flask のメリット
- 軽量で柔軟: Flask は構造や依存関係を強制しないため、マイクロサービスや API、およびゼロからスタックを構築したいチームに最適です。
- データサイエンスおよび ML ワークフローで一般的: Flask はダッシュボードの構築、モデルの提供、ノートブックから軽量なウェブアプリへの変換などの実験によく使用されています。
- 初心者でも使いやすい: Flask はセットアップが最小限で習得が容易であるため、Python 開発者が最初に取り組むウェブフレームワークとしてよく推奨されています。
- 拡張性: 豊かな拡張機能のエコシステムが存在するため、データベース統合、フォーム検証、認証などの機能を必要な場合にのみ追加することができます。
- モジュール式アーキテクチャ: Flask はその設計上、簡単にアプリをブループリントに分割したり、他のサービスに統合したりできるため、分散システムで作業するチームに最適です。
- 読み取りやすいコードベース: Flask のソースコードはコンパクトで取り組みやすいため、デバッグ、カスタマイズ、内部ツール用のフォークを簡単に行えます。
Flask のデメリット
- すべてが自己手配: Django とは異なり、Flask には ORM、管理パネル、またはユーザー管理の仕組みがありません。 これらのツールは、自分で選択して統合する必要があります。
- 自前のセキュリティ対策: Flask には最低限の保護しか組み込まれていないため、CSRF 対策、入力検証、およびその他のベストプラクティスを手動で導入する必要があります。
- 乱雑になる可能性: 規則や構造に決まりがないため、独自のアーキテクチャやパターンを徹底しない限り、大規模な Flask アプリでは管理が難しくなる可能性があります。
4. Requests
2024 年の使用率: 33%(2023 年から 3% 増)
Requests はウェブフレームワークではなく、HTTP リクエストを発行するための Python ライブラリですが、その Python エコシステムに対する影響は計り知れません。 PyPI で最もダウンロードされているパッケージの 1 つであり、ウェブスクレイピングスクリプトから本番レベルのマイクロサービスに至るあらゆるものに使用されています。
Requests は多くの場合、外向きの HTTP 呼び出しを処理する目的で Flask または FastAPI などのフレームワークと組み合わされています。 生のソケットと urllib の複雑さを抽象化し、ウェブ経由でデータを送受信するための分かりやすい Python インターフェースを提供します。
Requests のメリット
- 単純で直感的: Requests は HTTP を Python のネイティブな構成要素のように扱えるようにします。 その構文は明瞭で読み取りやすく、requests.get(url) のみでリソースを取得することができます。
- 成熟度と安定性: 10 年以上にわたって開発されてきた Requests は十分にテストされているため、広く信頼されています。 数多くの開発者に使用されており、多くの Python プロジェクトでデフォルトの依存関係となっています。
- REST クライアントに最適: Requests は API の使用、SaaS プラットフォームとの統合、外部データソースに依存する内部ツールの構築に最適です。
- 優れたドキュメントとコミュニティ: 公式ドキュメントは明瞭で簡潔に書かれており、ライブラリはチュートリアル、Stack Overflow での回答、GitHub の課題によって手厚くサポートされています。
- 幅広い互換性: Requests は、セッション、Cookie、ヘッダー、タイムアウトを組み込みでサポートしているため、複数の Python バージョンとプラットフォームで支障なく機能します。
Requests のデメリット
- 非同期対応ではない: Requests は設計上は同期的に動作するため、ブロック処理が発生します。 並行処理の多いワークロードや非同期ネイティブのフレームワークでは、HTTPX や AIOHTTP などの代替ライブラリの方が適しています。
- 再試行ロジックが組み込まれていない: 接続プーリングやタイムアウトはサポートされているものの、再試行の動作は手動または urllib3 などのサードパーティラッパー経由で実装する必要があります。
- 低レベルの制御の制限: Requests は HTTP 呼び出しを単純化しますが、ネットワーク処理の詳細を抽象化するため、高度なチューニング(ソケット、DNS、接続の再利用など)が困難です。
5. Asyncio
2024 年の使用率: 23%(2023 年から 3% 増)
Asyncio は非同期プログラミングを実現する Python のネイティブライブラリです。 多くのモダンな非同期フレームワークの基盤となっており、開発者がコルーチン、イベントループ、async/await 構文を使用してノンブロッキングコードを作成することを可能にします。
それ自体はウェブフレームワークではないものの、Asyncio はネットワークリクエストやサブプロセスなどの I/O バウンドタスクの処理に優れています。 バックエンドで使用されていることが多いものの、カスタム非同期ワークフローの構築や低レベルのプロトコルとの統合では強力なツールであり続けています。
Asyncio のメリット
- ネイティブの非同期サポート: Asyncio は Python 標準ライブラリに含まれており、async/await 構文を使用した非同期 I/O に対する最高水準のサポートを提供しています。
- モダンなフレームワークの基盤: FastAPI、Starlette、AIOHTTP など、今日の最も一般的な Async ウェブフレームワークの多くの基盤となっています。
- 詳細な制御: 開発者がイベントループの管理、コルーチンのスケジュール設定、並行タスクの高精度な調整を行えるため、カスタム非同期システムの構築に最適です。
- I/O バウンドのワークロードに有効: Asyncio は API 呼び出し、ソケット接続、ファイルの読み取りなどの大量の並行 I/O 操作の処理に優れています。
Asyncio のデメリット
- 習得が困難: コルーチン、イベントループ、タスクスケジューリングなどの概念は、非同期プログラミングに不慣れな開発者にとっては難しい可能性があります。
- 包括的なフレームワークではない: Asyncio にはルーティング、テンプレート化、またはリクエスト処理が備わっていません。 低レベルのツールであるため、ウェブ開発用のライブラリを追加する必要があります。
- デバッグの複雑さ: 非同期コードのトレースやデバッグが比較的困難であり、特にレースコンディションやネストしたコルーチンを処理する場合にはそれが顕著になります。
6. Django REST Framework
2024 年の使用率: 20%(2023 年から 2% 増)
Django REST Framework(DRF)は、Django ベースの API の構築に最も広く使用されている拡張機能です。 データのシリアル化、権限の管理、および RESTful エンドポイントの公開を実現しながら、Django の基本コンポーネントとの緊密な連携を維持できる強力で柔軟なツールキットを提供します。
DRF はチームですでに Django を使用しており、スタックを切り替えずに明瞭で拡張性の高い API を公開したい企業やバックエンド集中型のアプリケーションでは特に一般的です。 また、ブラウザー上で API を試せるインターフェースでも知られており、開発中にエンドポイントのテストやデバッグを簡単に行えます。
Django REST Framework のメリット
- Django との緊密な統合: DRF は Django のモデル、ビュー、および認証システムを直接ベースにして構築されているため、すでに Django を使用しているチームに最適です。
- ブラウザー上で API を試せるインターフェース: DRF の主な機能の 1 つに、ウェブベースの対話型 API エクスプローラーがあります。開発者とテスターはこのエクスプローラーを使用することで、外部のツールを使用せずにエンドポイントを調べることができます。
- 柔軟なシリアル化: DRF のシリアライザーは、単純なフィールドから深くネストしたリレーションに至るすべてを処理可能で、ORM および 非 ORM データソースの両方をサポートしています。
- 堅牢な権限システム: DRF はロールベースのアクセス制御、オブジェクトレベルの権限、およびカスタムの認証ロジックのサポートを組み込みで提供しています。
- 豊富なドキュメント: DRF には詳細なドキュメントと多くの現場で使用されている豊富な教材があり、大規模なコミュニティと豊富なチュートリアル、例、およびサードパーティパッケージが存在しています。
Django REST Framework のデメリット
- Django への依存と大量のセットアップ: DRF は Django と密接に結びついているため、FastAPI などの軽量のフレームワークよりも多くの構成を必要とします。これは、動作をカスタマイズする場合には特に顕著です。
- 柔軟性の低いシリアル化: DRF のシリアライザーは一般的なケースでは十分に機能しますが、複雑なデータや標準的でないデータ用にカスタマイズする場合には、冗長なオーバーライドが必要となることが多々あります。
その他の上位フレームワーク: 7 位~10 位
エコシステム全体での使用率で上位を占めているのは最も一般的な Python フレームワークですが、その他にもより専門的な領域で人気を集めているフレームワークがあります。 それらのツールは概して高い順位にありませんが、バックエンドサービス、データパイプライン、および非同期システムにおいて重要な役割を果たしています。
フレームワーク | 概要 | メリット | デメリット |
httpx 2024 年の使用率: 15%(2023 年から 3% 増) |
同期および非同期ワークフロー向けのモダンな HTTP クライアント | 非同期のサポート、HTTP/2、リトライ、型ヒント | ウェブフレームワークではなく、ルーティングまたはサーバーサイドの機能がない |
aiohttp 2024 年の使用率: 13%(2023 年から 1% 増) |
非同期の HTTP サーバーおよびクライアント向けツールキット | ASGI 対応、ネイティブの WebSocket 処理、柔軟なミドルウェア | FastAPI より低レベル、大規模アプリ向けにあまり構造化されていない |
Streamlit 2024 年の使用率: 12%(2023 年から 4% 増) |
データワークフロー向けのダッシュボードとデータアプリビルダー | 高速な UI プロトタイピング、フロントエンドの知識が不要 | レイアウトに対する制御が限定的、複雑な UI にあまり適していない |
Starlette 2024 年の使用率: 8%(2023 年から 2% 増) |
FastAPI が使用する軽量の ASGI フレームワーク | 極めて優れたパフォーマンス、組み合わせ可能な設計、詳細なルーティング | 手動統合が必要、便利な組み込みの機能が少ない |
適切なフレームワークとツールの選択
FastAPI を使用した非常に高速な API、Django を使用したフルスタックの CMS、Flask を使用した軽量なダッシュボードのどれを構築する場合でも、最も一般的な Python ウェブフレームワークはあらゆるユースケースと開発者のスタイルに適したソリューションを提供します。
2025 年 Python の現状から得たインサイトでは、Django と Flask が引き続き確固たる地位にあるものの、FastAPI が新しい非同期ネイティブの型安全な開発の波を導いていることが分かりました。 その一方、Requests、Asyncio、Django REST Framework などのツールは Python 開発者によるモダンなウェブサービスの構築と拡張のあり方に影響を与え続けています。
とは言え、フレームワークは要因の一部に過ぎません。 適切な開発環境は、迅速なデバッグからスマートなコード補完、シームレスなフレームワークの統合に至るすべての面に影響を及ぼします。
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オリジナル(英語)ブログ投稿記事の作者: