Junie が Mac で完全動作可能に。クレジットもクラウドも不要です
オンデバイスコーディングエージェントへの第一歩
Junie は少し前からローカルモデルのランタイムに接続できるようになっています。Ollama か LM Studio を指定してローカルモデルを読み込み、エージェントにそのモデルを実行させます。これはすでに多くのユーザーが実践している手法です。しかし、これにはモデルを選択し、設定を調整し、手動セットアップをたくさん行わなければなりません。また、小規模モデルでは限られた単純なタスクしか処理できません。
そこで、JetBrains はこれらの作業をすべて肩代わりすることにしました。Junie Local をご紹介します。このエージェントは当社が選んだ独自のエージェントループに合わせて調整したモデルとともに提供されており、コマンド 1 つでインストール可能で、ローカルのマシン上で完全動作します。トークンも利用枠もなく、お使いのマシンからコードが外部に流出することも一切ありません。しかも無料です。
コマンド 1 つ、構成不要
Junie 内で /local を実行します。モデルがダウンロードされ、ローカルサーバーが起動し、Junie に切り替わります。JSON プロファイルの作成、ランタイムの事前インストール、エンドポイントの指定は必要ありません。
モデルは Qwen3.6-27B の 4-bit 版で、ダウンロードサイズは約 20 GB、64 GB RAM 搭載の M5 Mac が必要です。ダウンロード以降の処理はすべてハードウェア上で行われるため、プロンプト、ソース、差分データはそのまま残ります。
既存の設定はそのまま引き継がれます。Plan(プラン)モード、ライブプロンプト、ガイドライン、スキル、/commands の動作はこれまでと同じです。エンジンは変わりましたが、エージェントは変わっていません。
高速化について学んだ事実
誰もが生成速度をベンチマークにします。これはコーディングエージェントに関しては、追うべき指標ではないことが判明しました。なぜなら、モデルはファイルを読み込んで状況を把握する間、ほとんどの時間をプレフィルに費やしているからです。Junie Local が Apple M5 以上に対応しているのは、プレフィルを最適化するとパフォーマンスが向上することが判明したためです。M5 ニューラルアクセラレーターに M4 にはない 8 ビット演算命令が搭載されており、これを使用することでプレフィルのスループットが約 40% 向上しました。このパッチは MLX-VLM にプルリクエストとして送信する予定です。
また、新バージョンの Qwen3.8 ではなく、Qwen3.6 を意図的に選択しています。Qwen3.8 を確実に動作させるには推論機能を有効にする必要があり、有効にするとタスクの実行速度が約 4 分の 1 に低下してしまうからです。現在の Mac では Qwen3.6 の方が優れています。
上記以外にも、タスク間での KV キャッシュの再利用や、生成速度が約 2 倍になる推測デコードの設定などの多くの工夫を盛り込みました。詳細については、こちらの記事「Junie エージェントの Qwen 3.6 モデルの最適化事例」をご覧ください。
どのような点で優れているのか
JetBrains は Junie を導入する前から独自のテストセットを使用してすべてのモデルを評価しており、Junie Local も例外ではありませんでした。Qwen3.6-27B のスコアは Sonnet 4.5(推論制限 10,000 トークン)と同等でした。GPT-5 は中程度の推論レベルでわずかに高いスコアが出ました。
これらの数値の内容には注意が必要です。当社がテストした結果、推論機能が有効な場合には品質がごくわずかしか向上しないのに対し、トークン消費量は 2~3 倍に増加することが判明しました。そのため、当社はローカルモデルの推論機能を完全に無効化して提供しています。したがって、これらの結果は推論機能を無効にしたモデルと推論機能を有効にしたクラウドモデルとの比較結果だということになります。
普段の作業ではその差に気づかないかも知れません。ですが、複雑なアーキテクチャの推論では間違いなくその差を実感できるはずです。
すべて無料になると、どう変わるのか
ベンチマークはモデルが作業をこなせるかどうかを示すものです。無料で作業が完了した場合、何がどう変わるのかを示しません。
Junie は少し前からコスト効率という調整ダイヤルを重視しています。強力なモデルでプランを作成し、安価なモデルで実装するという方針です。Junie Local はその調整ダイヤルをゼロまで下げました。イテレーションがあと 1 回無料なら、普通はクレジットを使おうと思わないような作業でも任せる価値が出てきます。Junie Local は次のような用途に最適です。
- クレジットを使うに値しなかった複数ファイルのリファクタリングや名前変更。
- 過去 2 四半期にわたって放置してきたテストカバレッジの不足。
- 依存関係のアップグレードやフレームワークの移行。
- 継承したリポジトリの概要把握。
長く、定型的、かつ機械的な作業こそがエージェントに適しているのですが、クレジット残量を気にし始めると、そのような作業の依頼を躊躇してしまうのです。
Junie Local が提供するプライバシーを知る目的でこの記事を読んでいる開発チームもあるかと思います。ベンダーは一切関与していないため、ベンダーのデータポリシーを確認する必要はありません。クライアントと NDA を結んで業務を行う場合、会話の焦点は「プロバイダーを評価した」から「関与したプロバイダーはなかった」に変わります。
また、このモデルはネットワークが一切なくても動作します。重みデータがディスクに保存されてさえいれば、Junie Local は飛行機の中でもデスクでも同じように動作します。
高い要件が必要な理由
64 GB RAM 搭載の M5 Mac というのは、かなり高い要求であることは承知しています。その事実を隠すつもりはありません。また、それが理由でこの記事を読んでいる多くの方々が Junie Local を使用していないということも理解しています。
これは、現時点では 27B モデルを適切に動作させるためにやむを得ないことに他なりません。当社はこの要件を引き下げるために全力を尽くしています。目標は、メモリの最低要件を引き下げること、ハードウェアの対応範囲を広げること、そしてスタックの最適化をさらに推進することです。要件が高すぎて今は Junie Local をお試しになれない方もご安心ください。当社は要件の引き下げに取り組んでいます。
これは第一歩です
1 つのモデル、1 つのチップファミリー、1 つのプラットフォーム。あらゆるモデルを中途半端にサポートするより、1 つのモデルをスタック全体にわたってチューニングする方がはるかに良いため、まずは範囲を絞ってスタートしました。
Mac は出発点であり、計画そのものではありません。DGX Spark と RTX 5090 で動作するプロトタイプをすでに用意し、24GB グラフィックカードの検討も進めています。ディスクリート GPU 上ではプレフィルの動作が全く異なるため、最適化作業の多くはそのハードウェア側に移行することになります。
次に対応を検討すべきプラットフォームについてご意見があれば、ぜひこの機会にお知らせください。
使い始めるには
Junie Local は完全に無料です。登録、サブスクリプション、クレジット、カードは一切不要です。
Junie を開いて /local を実行し、先延ばしにしていたタスクを投入してみてください。そしてうまくいかなかったこと、意外だったこと、今後希望する機能をお聞かせください。Junie のあらゆる構成要素はこのようなフィードバックループから生まれました。今回も例外ではありません。
オリジナル(英語)ブログ投稿記事の作者: