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KotlinConf 2023: オープニング基調講演の振り返り

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KotlinConf 2023 のオープニング基調講演では、Roman Elizarov、Svetlana Isakova、および Egor Tolstoy により、Kotlin 言語における JetBrains の最近の成果についてエキサイティングな発表がありました。また、Google 社の Grace Kloba 氏より最新のニュースが共有されました。

  • K2 コンパイラーが Kotlin 2.0 でリリースされます。
  • Gradle Kotlin DSL が新しいビルドのデフォルト言語になります。
  • Google では Kotlin 言語の採用率が急上昇しています。
  • Kotlin Foundation がライブラリ作成者向けの資金調達プログラムと法人メンバーシッププログラムを開始します。
  • Kotlin Multiplatform は今年中に安定版になります。
  • Compose for iOS がアルファ版でリリースされました。
  • Kotlin/Wasm による実験的 Compose for Web。

主な発表については、基調講演をご覧になるか、当ブログを引き続きお読みください。

4 月 13、14 日に開催されたカンファレンスは、オランダのアムステルダムにて実施されました。

📽️ このイベントを堪能したい方はスケジュールを調べて、魅力的な講演を厳選し、ライブストリームでお楽しみください!(現在は録画放送をご視聴いただけます)

Kotlin 2.0 と今後の言語の進化

当社は 2019 年にパフォーマンスの進化を目指し、新しい K2 コンパイラーの開発に着手しました。 新しいコンパイラーの作業が完成に近づいており、バージョン 1.9 に続く Kotlin 2.0 としてのリリースを発表する日を楽しみにしています。

新しいコンパイラーで最も重要な改善点は、コンパイル速度の大幅な向上です。 新しいアーキテクチャでは、コンパイルパイプラインの速度が 2 倍になります! もちろん、正確な速度の改善度は具体的なプロジェクトによって異なります。

以下に、Kotlin コンパイラー自体をバージョン 2.0 のプレビューを使ってビルドした場合の、コンパイル速度が改善した例を示しています。

Kotlin 2.0 を試そう

私たちは皆さまからの貴重なフィードバックとインサイトを頼りに Kotlin を開発し、設計を決めています。 Kotlin 2.0 をお試しいただき、皆さんのユースケースに対応できるか、またはどのような問題が発生したかをお知らせください。 Kotlin 1.8.20 からは通常の Kotlin 言語バージョンフラグを使って Kotlin 2.0 言語バージョンのプレビューを有効にできます。

フィードバックは、YouTrack で Kotlin 2.0 開発者宛てに直接お送りください。

Kotlin 2.0 を試す

新しいツールとコンパイラープラグイン

Kotlin 2.0 は今後、言語的な進化を加速させることになります。 新しいアーキテクチャでは、コンパイラーに多数の変更を加えることなく新機能をより素早く導入できます。 また、言語の範囲外でコンパイラープラグインを使用して実現できることに関してもかなり強力になっています。

新しいコンパイラーは多数のツールに組み込まれる予定です。 Kotlin IDE プラグインは書き直されます。 Google は既存プラグインと Kotlin 2.0 の自動連携を目指して Kotlin Symbol Processing(KSP)エンジンのアップデートに取り組んでいます。 Google は JetBrains との緊密な連携により、K2 を Android Studio と Compose コンパイラーに統合して開発者エクスペリエンスをさらに強化することも目指しています。

その他の言語関連ニュース

他にもいくつか皆さんにお伝えしたいことがあります! Kotlin 2.0 のリリース後に、大きく期待されていた次のいくつかの機能の提供が予定されています: 静的拡張コレクションリテラル名前ベースの非構造化コンテキストレシーバー、および明示フィールドです。

また、Kotlin Notebooks の最初のプレビューが IntelliJ IDEA に統合され、間もなくリリースされます。

これらの言語機能の詳細や Kotlin コンパイラープラグイン、 Kotlin Notebooks に関する Roman Elizarov のデモについては、基調講演の録画をご覧ください。

Roman Elizarov が執筆したこちらのブログで新しいコンパイラーと Kotlin 2.0 のロードマップの詳細を読む

Kotlin DSL が Android Studio のデフォルトのビルド言語に

Android Studio Giraffe から Gradle Kotlin DSL がデフォルトのビルド言語になることは、今回の最もエキサイティングな発表の一つです。 この変更によって Kotlin がインレイヒント、構文ハイライト、ナビゲーション、コード補完を提供するようになるため、Groovy と比較して開発体験が大幅に向上します。 これらの機能は、ルールを把握し切れていない不慣れなビルドスクリプトや複雑なビルドスクリプトを扱う場合には不可欠なものです。

詳細情報

Google 社内での Kotlin の採用

Google が自社製品の開発で Kotlin を正式にサポートして以来、Kotlin の Google での採用率は Android アプリケーション以外においても拡大しています。 Google での Kotlin コードベースは 1,500 万行を超えており、昨年の 2 倍に拡大しています。 実際、Kotlin を使用する Google エンジニアの 45% 以上がサーバーサイドのコードを書いており、Google Workspace チームは Kotlin Multiplatform の可能性を探っています。

Google の KotlinConf ブログ記事で、Google による Kotlin への投資について詳しく見る

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Kotlin Foundation によるマルチプラットフォームライブラリ作成者への助成金援助

Kotlin Foundation が個人貢献者を支援する助成金を提供し始めました! このプログラムはマルチプラットフォームプロジェクトの作者だけでなく、プロジェクトを Kotlin Multiplatform に展開しようとしている個人を支援することを目的としています。

Kotlin Foundation Ecosystem Committee は、プロジェクトのターゲットオーディエンス、解決しようとしている課題、およびその安定性を考慮して、アプリケーションを審査します。 また、最近公開された Library API ガイドラインを遵守していることも重要です。

第 1 回目の提出期限は 5 月 15 日となっています。 このプログラムを詳細を確認して応募しましょう!

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Kotlin Foundation メンバーシッププログラム

Kotlin Foundation が言語開発ガバナンス、Kotlin エコシステムの進化、および言語の推進について協力を希望する企業をさらに受け入れるため、メンバーシッププログラムを立ち上げました。

Kotlin Foundation に迎え入れられた最初のメンバーは、Gradle Inc.Touchlab、および Shopify です。 これらの企業は、この言語とエコシステムに目覚ましい貢献をしたことが Kotlin コミュニティで大いに知られています。

Foundation に参加して自社とコミュニティのつながりを築き、Kotlin の未来を形作りましょう!

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Kotlin Multiplatform が間もなく安定版に

Kotlin Multiplatform はコミュニティの多大な貢献により、目覚ましい採用率を得てエコシステムの急成長を目の当たりにしています。 Multiplatform ライブラリの数は 1,000 件を超えており、想定されるほぼすべてのユースケースに対応できるようになっています! Google の貢献により、一連の Jetpack ライブラリもその 1 つとしてアップグレードされています。

メモリ管理、プロジェクト構成、およびマルチプラットフォームライブラリなどの概念が正しく検証され、2023 年は Kotlin Multiplatform の安定版リリースを目指して懸命に取り組んでいます

汎用性と広大なエコシステムを持つ、あらゆるプラットフォームに対応可能な Kotlin Multiplatform はクロスプラットフォーム開発の主な選択肢となる可能性を秘めています。 その実現に向けて必要とされていたクロスプラットフォーム UI を実装しました!

アルファ版 Compose for iOS

iOS を対象とする Compose Multiplatform のアルファ版がリリースされました。 これにより、Compose Multiplatform を使用して Android と iOS で同じアプリをビルドできるようになりました。 モバイル開発で UI を共有するメリットは大きいですが、Multiplatform ではアプリのビジネスロジックを共有して UI をネイティブのままにするか、両方でクロスプラットフォーム化するかを柔軟に選択できます。 この選択はユーザー次第です。各自の条件に合わせてコードを共有できます! もちろん、Multiplatform に加えて別の UI フレームワークを使用してシステムを設計することも可能です。

まだアルファ版ではありますが、当社は Compose Multiplatform で iOS をサポートするための取り組みを続けています。 この取り組みを支援しませんか? ぜひお試しになり、Kotlin Slack の #compose-ios チャンネルにフィードバックをお寄せください(メンバーでない場合はこちらで申請してください)。

Compose for iOS を試す

Kotlin/Wasm による実験的 Compose for Web

私たちは新しいプラットフォームを取り込めるように Kotlin を継続的に拡張しています。 最新の Kotlin バージョンで WebAssembly の実験的サポートをすでに試された方もいらっしゃるかもしれません。現在はプロトタイプがリリースされているため、Kotlin/Wasm を使用して既存の Compose コードを実験的にウェブに移植することも可能になっています! Kotlin Slack の #compose-web チャンネルにフィードバックをお寄せください(メンバーでない場合は、こちらで申請してください)。

Compose for Web を試す

基調講演で発表されたその他の情報と統計

  • Kotlin は 100 万件以上の GitHub プロジェクトで主要言語として使用されています。
  • Kotlin Multiplatform ライブラリの数は過去 1 年で 60% 増加し、これと同じペースでプラットフォーム自体も急成長を遂げています。
  • すべてのプラットフォームで全 Kotlin ユーザーの 86% が Kotlin に満足しているか、非常に満足しています。
  • Kotlin を使用する Android プロ開発者の 96.9% は Kotlin に満足しており、Java より 9% ポイント高い数値となっています。
  • Kotlin は Android 開発で最も一般的な言語であり、Android アプリ上位 1,000 タイトルの 95% 以上で使用されています。
  • Android アプリ上位 1,000 タイトルの 21% 以上は Jetpack Compose を使用しており、昨年より 2 倍以上伸びています。

ありがとうございました。KolintConf 2023 をお楽しみください!

Kotlin を理想とする「開発者がアプリケーションのあらゆる部分を自信をもって楽しみながら開発できる業界言語」にすることを目指し、熱意をもって貢献していただいたコミュニティの皆さまに深く感謝申し上げます。

KotlinConf 2023 ライブ配信(現在は録画放送をご視聴いただけます)をお楽しみください。 今回の主な発表内容について詳しく知りたい方には、以下の講演をお勧めしています。

Kotlin 2.0: 

  1. How We’re Improving the Performance of the IntelliJ IDEA Kotlin Plugin(IntelliJ IDEA Kotlin プラグインのパフォーマンス改善)ー Vladimir Dolzhenko
  2. K2 Compiler Plugins(K2 コンパイラープラグイン)ー Mikhail Glukhikh

Google における Kotlin:

  1. Adopting Kotlin at Google Scale(Google 規模での Kotlin の採用)ー Jeffrey van Gogh、John Pampuch
  2. Kotlin Multiplatform in Google Workspace(Google Workspace の Kotlin Multiplatform)ー Jason Parachoniak
  3. Kotlin Multiplatform Conversions at Android Jetpack Scale(Android Jetpack 規模での Kotlin Multiplatform 変換)ー Dustin Lam、James Ward
  4. Adventures Building a Kotlin Multiplatform Benchmarking Library(Kotlin Multiplatform ベンチマークライブラリの構築の旅)ー Rahul Ravikumar

Compose と Multiplatform:

  1. Compose Multiplatform for iOS ー Sebastian Aigner、Nikita Lipsky
  2. You Can Do Desktop Too! ー Victor Kropp
  3. Level Up on Kotlin Multiplatform(Kotlin Multiplatform でレベルアップ)ー Pamela Hill

その他のリソース

  1. The K2 Compiler Is Going Stable in Kotlin 2.0(Kotlin 2.0 で K2 コンパイラーが安定版に)- – Roman Elizarov のブログ記事
  2. The Kotlin DSL Is Now the Default for New Gradle Builds – GoogleGradle のブログ記事。
  3. Kotlin Foundation メンバーシッププログラムの発表
  4. Kotlin Foundation 助成金プログラムが公開されました

オリジナル(英語)ブログ投稿の作者:

Ryuji Owan

Alina Dolgikh

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