JetBrains Toolbox – リリースとバージョニングの変更

サブスクリプションへ移行することのゴールの一つに、1年に1回メジャーリリースを行うリリースサイクルから、バージョニングとは関係なしに継続的に価値を提供するしくみへと変わることがあります。

このモデルの変更によって今後バージョンが意味するところは何なのかという質問がありました。一般的にユーザーが新しいバージョンで気になること言えば次のようなものです:

  • 新バージョンは何を提供してくれるのか?
  • 新バージョンによって自分の作業がどう変わるのか?
  • 新バージョンを利用することは可能なのか?

しかし、これらの質問よりもよくある質問に答えることにしましょう。つまり、IntelliJファミリーのIDEに共通な機能がありますが、一つの製品でなされた新機能やバグフィックスが他の製品にも反映されているのかという声を良く伺います。使っているのが複数製品であるか単一製品であるかにかかわらず、共通的な新機能や修正がいつ個々の製品に反映されるのかは明確でなければなりません。

別の問題、といってもこれは内部的な問題ですが、我々のバージョンの管理です。複数の製品、複数のリリースを年間何度もおこなっていくにあたってバージョン番号を上げていきたいということです。

シングル・バージョン。並行リリース。

我々はJetBrainsツールボックスにあるすべての製品について同一のバージョン体系に変更します。これらにはすべてのIDEおよび.NETツールが含まれています。

加えて、新たなバージョン体系を導入します。これは次のようなフォーマットで表されます。

YYYY.R

yyyyが表すのは年です。rはその年のリリースを表します。一年のうちに複数回のリリースをするという狙いがここには込められています。各製品には各製品独自のビルドナンバーがあり、それはyyyy.r.n.m*という形で表されます。

例えば、IntelliJ IDEAの2016.2というバージョンでそのビルドナンバーが2016.2.1.10というものをリリースするでしょう。引き続きWebStormの2016.2でビルドナンバーが2016.2.5.30というものをリリースするでしょう。それらはともに2016.2のリリースの一部です。

結果、現在JetBrainsツールボックス製品でEAPとして提供しているものはバージョン2016.1としてリリースされることになります。

この変更によりバージョン方式が統一されるだけでなく、平行リリースも行われるようになります。つまり、JetBrainsツールボックスの製品は年間を通して同じ回数のリリースがあり、それらは一定の期間内にリリースされます。

*なお新しいバージョン体系の適用はバージョン2016.1から始まりますが、関連作業が全て終わり完全に統一されるのは2016.2となる見込みです。

これによって何がもたらされるか?

この変更がユーザーおよび我々に幾つかの利点があると考えています。

ユーザーの利点

頻繁な製品のアップデート

サブスクリプション制への移行の目標は年間のリリース回数を増やすことでした。これにより新機能や改善を準備出来たらメジャーリリースを待たずに提供できるようになります。

年ベースのバージョン

2016.2というバージョンは単純な11よりも意味にあふれています。なぜなら最近のリリースかどうか年という観点でわかりますし、その年のいつのリリースかもわかります。

並行バージョン

すべての製品が同じバージョンになります。WebStormの2016.2とIntelliJ IDEA2016.2とを比較するのはWebStormの11とIntelliJ IDEAの16との比較に比べて容易にできます。

可用性

サブスクリプションが有効であるなら、最新バージョンが利用可能です。どのバグフィックス更新がお手持ちの恒久フォールバックライセンスで利用可能かどうかについては、JetBrainsアカウントからご覧になれます。

JetBrainsの利点

より頻繁なリリース

JetBrainsは価値を提供することに注力しており、新機能か修正かにかかわらず、提供可能になったらすぐにリリースしたいと考えています。そして、1年に1度というゆっくりなペースでメジャーバージョンアップリリースするような体系を保持するべきではないと考えています。より頻繁なリリースにより我々はより早く価値を提供し、より速くフィードバックが得られます。

年ベースのバージョン

複数の製品を扱っているためコラボレーションやリリースプランニングにとって製品のリリース、新機能やバグフィックスのリリースがいつだったかをバージョンナンバーによりひと目で判別がつくのは非常に都合が良い。新しいバージョン体系は我々によりよい時間のメンタルモデルを与えてくれる。

並行した内部・公開バージョン

我々は共通のプラットフォームを利用しているため、内部的にはツールがシングル・バージョン体系に従っている方がより都合がよくなります。各製品のバージョン番号も我々のブランチに合わせてあるため、実際のビルドナンバーであるほうが都合がよくなります。この変更に唯一直接的な影響を受けない製品は.NETツール群です。しかし我々の新製品Project Rider .NET IDEはIntelliJプラットフォームを共有するほか、それらの製品はJetBrainsツールボックスから利用可能であるため、単純化して同一のモデルに従うのがよいと判断しました。

明らかなことですが、我々の意図は品質に妥協することではありません。またバージョン駆動開発から締め切り駆動開発に移ることでもありません。これまでも、そしてこれからも、我々の目標はイノベーションと品質のよさを通じて価値を提供することです。これはそのための新たな第一歩であり、今後も一生懸命つとめていきます。

原文

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